成年後見の概要
人生何があるかわかりません。どんな状況でもご自身の財産を守れるよう成年後見制度・任意後見制度を活用しましょう!
成年後見制度とは、本人の判断能力が不十分な場合に、代理人が本人に代わって身上監護・財産管理に関する事務を行う制度です。任意後見制度とは、本人が判断能力のあるときに支援をする人との間で、身上監護・財産管理についての支援内容を公正証書で予め契約しておきます。判断能力が不十分になった場合に、その契約内容に基づいて本人を支援する制度です。
成年後見制度活用
- 財産を守ることができる!
- 代理人が財産管理を行いますので、ご自身の判断能力が不十分な場合でも財産を守ることができます。
- 安全・安心!
- 代理人は、親族や専門家(司法書士・弁護士など)から家庭裁判所が選任します。また、事前にご自身で代理人と契約することもできますが(任意後見契約)、この場合でも任意後見人が代理人として事務を開始する時には任意後見人を監督する任意後見監督人を家庭裁判所が選任します。どちらも家庭裁判所が手続きに関わりますので、安心できる制度です。
- もしものときでも意思を尊重
- この先、いつ何が起こるかは誰にもわかりません。あらかじめ、任意後見契約を活用しておけば、代理人がご自身の意思を反映するよう手続きします。
成年後見に関するよくある質問
- 成年後見制度とはどんな制度ですか?
- 成年後見制度とは、ご高齢者や障害者等、精神上の障害をお持ちの方のために、専門家が財産管理や身上監護をする制度です。
成年後見制度は大きく分けて法定後見と任意後見があります。法定後見の場合、判断能力が不十分になった際に、ご自身のために家庭裁判所が専門家を選任します。これに対して、任意後見の場合、ご本人が元気なうちに誰に管理を任せるか決定することができます。
【成年後見制度のなりたち】 成年後見制度の前身は「禁治産・準禁治産宣言」の制度ですが、この制度は主に財産を守ることに重点が置かれていました。しかし、高齢化社会に移行するに伴い、財産の維持だけではなく管理をしながら、より良い生活を送れるよう支援をする、という必要性が大きくなってきました。それに見合う制度として、平成12年4月から新しく成年後見制度が施行されました。また、新しい制度では、本人の希望を尊重するよう配慮がなされています。もちろん高齢者だけではなく、知的障害を持つ人も利用できる制度です。
【成年後見制度の内容】 成年後見制度は、いくつかの種類に分かれています。
◆法定後見制度 すでに判断能力が低下している場合の制度。判断能力の程度により「後見」「補佐」「補助」の3種類に分かれます。
・成年後見 「事理弁識能力を欠く常況にある人」日常の買い物等も一人ではできない人が対象
・保佐 「事理弁識能力が著しく不十分な人」日常の買い物程度のことはできても、不動産の売買等重要な取引行為は一人ではできない人が対象
・補助 「事理弁識能力が不十分な人」不動産の売買等重要な行為を、一人でするには心身の状態に不安のある人が対象 - 成年後見制度のデメリットはなんですか?
- 会社の取締役に後見開始の審判がされた場合には、取締役を退任することになります。なお、成年後見制度を利用してもその旨が戸籍に記載されることはありません
- 任意後見契約以外に他の契約をする必要はありますか?
- 任意後見契約は判断能力が十分にあるときに締結しますので、実際にご本人の判断能力が低下して後見人が就任する時期は、契約締結から数十年後というケースも考えられます。
任意後見契約締結後、任意後見契約の効力が発生するまでの間、後見人予定者と、ご本人との間の連絡を定期的にとっていなければ、判断能力が低下した時期をすぐに知ることができません。そこで、任意後見契約締結後、任意後見契約の効力が発生するまでの段階として、見守り契約、任意代理契約があります。また本人が亡くなった後の葬儀の手配、遺産の整理等死後の事務について決めておくには死後事務委任契約を、遺産の配分を決めておきたい場合には遺言書の作成をしておく必要があります。
■見守り契約とは
見守り契約とは、後見人予定者が本人と定期的に面談する等の方法で連絡をとることによって、任意後見をスタートさせる時期を相談したり、判断してもらう契約です。見守り契約をすることによって、ご本人と支援する人と定期的な意思疎通が可能となるため、任意後見契約をしてから数十年間本人と会わないといったようなことを防ぐことができ、信頼関係を継続させることができます。見守り契約は任意後見契約を公証人役場で締結する際に同時に締結することが多いでしょう。
■任意代理契約とは
任意代理契約は、ご本人の判断能力がまだあるときに、任意後見人予定者に財産管理と身上監護の事務を任せる契約です。つまり、後見制度は判断能力が低下して初めてスタートしますが、判断能力が低下する前も自分の財産の管理について任意後見人予定者に委任したいというような場合に利用することができます。任意代理契約も見守り契約と同じく任意後見契約と同時に締結することが多いでしょう。
■死後事務委任契約とは
死後事務委任契約は、ご本人の死後、清算事務、葬儀、埋葬等の事務をさせる契約です。
任意後見契約は、ご本人の死亡により終了するため任意後見人はこれらの事務を行なう権限がありません。このため、死後の事務も依頼するには任意後見契約とは別に死後事務委任契約を締結しておく必要があります。